現在の日本においては生活貧困者となっている人が一定数存在し、私達にとって身近な問題にもかかわらず、その現状や支援制度はあまり知られていいません。
そこで知っておくべき支援制度と、問題点まで分かりやすく解説します。
自分は生活困窮者ではないか?という方、そうでない方も目を通しておきましょう。
この記事の執筆者 こおた
国家資格キャリアコンサルタントを保有し、さまざまな生活困窮者と関わりを持ってきた経歴を持つ。現在は困窮問題や私達の生活にまつわるあまり知られていない情報をお届けするため活動中。
生活困窮者とは?
生活困窮者とは、文字通りに収入や資産が少なく、生活に困っている人達をさします。
ワーキングプアや傷病者、ホームレス等が該当します。生活困窮者自立支援法においては、同法第二条により現に経済的に困窮し、最低限の生活を維持することができない恐れのあるものが該当します。
2020年以降は、度重なる自粛による雇用情勢の悪化で生活困窮者が急激に増加していることが問題視されています。
生活困窮者の現状
2020年以降、度重なる自粛による雇用情勢悪化に伴い、生活困窮者が急増しています。
社会的に弱い立場にある非正規労働者を中心に雇止めや解雇が増え生活困窮に陥っている人達が急増しているのが現状です。
パート、アルバイト、派遣等の非正規労働者は女性が多く、母子家庭や高齢者、若年者を問わず明日の食事にも事欠く実態があります。
今でもギリギリの生活をしてきた人たちが2020年の社会変化で一気に表面化しました。
若年者の中には生活苦から風俗に身を置く人もいますが、風俗業界も不況に苦しんでおり厳しい状況が続いています。
また、学生もアルバイトが減り学業を続けることが困難になっている人が増えています。
知っておくべき日本の生活困窮者に対する支援・制度について
平成27年(2015年)4月から生活困窮者自立支援制度が始まり、生活全般にわたる困りごとの相談窓口が全国に設置されました。
居住地の自治体(市役所・役場)や社会福祉法人、NPO法人、民間企業等が相談窓口事業を実施しています。
また、国の生活困窮者に対する支援制度として以下の支援策があります。
生活困窮に陥っていると感じる方は相談窓口と共に、以下3つを確認しておきましょう。
リンク先ものせていますのでぜ併せてご確認ください。
1.住居確保給付金
まず、生活困窮者自立支援法(平成25年法律第105号)に基づく住居確保給付金があります。
住居確保給付金は「有期の支援機関内における就労による自立を支援する制度」です。
最長9ヶ月ですが、特例で延長を3回まで支給期間は最長12ヶ月までを可能とする予定となっています。
2.緊急小口資金・総合支援金
家計が厳しい人のために生活福祉資金貸付制度があり、緊急小口資金と総合支援資金があります。
緊急小口資金の特例貸付
緊急小口資金とは、緊急かつ一時的に生活が苦しくなった時に借りれるお金です。
2020年には貸付限度額が10万円以内から20万円以内になり、返済据置期間が2ヶ月から1年以内に返済期間が12ヶ月以内から2年以内になり借りやすいように拡張されています。
総合支援資金の特例貸付
総合支援資金の特例貸付は、生活再建までの間に借りられるお金で、2020年からは社会情勢に応じた収入の減少や失業等で生活が困窮している世帯も対象になりました。
貸付限度額は、2人以上20万円以内、単身15万円以内であり返済据置期間が6ヶ月から1年に延び返済期間は10年以内となっています。
3.生活保護
生活保護制度は、生活に困窮する人に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康的で文化的な最低限の生活を保障し、自立を助長することを目的としています。
地域の福祉事務所の生活保護担当が窓口であり、町村部では町村役場でも申請手続きができます。
尚、生活保護は世帯単位で行うものとします。
上記により就業機会が困難と考えられる人達には生活保護制度の適用も受けられることになります。
生活困窮者に対する支援制度・生活保護制度の問題点
最大の問題は、生活困窮者に対する支援制度や生活保護制度も本人からの相談や申請が基本であり、これらの知識がない人は申請できず恩恵にあずかれないことにあります。
今の日本は核家族化が進み地域での連携が失われ孤立して生きている人達が増加し、自分で知識がないと教えてくれる人がいないのが現状となっています。
また地方等では生活に困窮していることを恥ずかしくて言えないようなケースも多いのが実態です。
このような状況の中で高齢の姉妹が餓死したり、路上生活者となったり、風俗に身を置く若年女性が急増しているのです。
支援制度の申し込み方が分からない時はどうする?
支援制度のことが分かっても「仕組みが複雑」「どうすれば良いか分からない」という人もいることでしょう、
現在は、居住地の自治体(市役所・役場)や社会福祉法人のほとんどが相談窓口を設置していますので、遠慮なく問い合わせるようにしましょう。
生活困窮者を支援する制度は進んでいますので、分からないことがあればまずは自治体に相談をしてみることが大切です。
全体のまとめ
国は、生活困窮者に対する支援制度や生活保護制度を本人からの相談や申請に任せるだけでなく、社会福祉協議会や福祉事務所、NPO法人、民間企業、民生委員等を総動員して真の困窮者を発見し保護する必要があります。
社会が変化する中で、日本が憲法の基本的人権を尊重し先進国であるには、生活困窮者からの相談申請を待つだけでは物足りません。
国が積極的に弱者救済に本気で取り組むことが課題といえるでしょう。